2025年3月26日、OpenAIが提供するChatGPT「GPT‑4o」で画像生成において大幅なアップデートが行われました。
●「もうデザイナーやイラストレーターは不要?」
●「ビジネスに使えるレベルのイラストや漫画が簡単に生成できる」
…と巷で話題の品質向上。
印刷会社として、ぜひとも確認したい!ということで、早速使ってみました。
【参考】OpenAIニュースリリース「4o Image Generation が登場」(https://openai.com/ja-JP/index/introducing-4o-image-generation/)
今回は、当社「福島印刷のロゴマーク」を元にイメージキャラクターの生成を依頼してみました。
【 プロンプト 】
このロゴマークをモチーフとした可愛いマスコットキャラクターをデザインして。マークから想定されるコンセプトとカラーリングを反映させる。ちなみに白い曲線が「F」を表す。
生成できたのは、こちら↓↓
ロゴマークのアルファベット「F」を模した、とても可愛いキャラクター「Fぼうや」(仮称)が一瞬で誕生しました。すごい!
生成したキャラクター「Fぼうや」の、さまざまなバリエ―ションを依頼してみました。
【 プロンプト 】
いいね。この子にいろんなアクションポーズをさせてみて。
これまた一瞬で、多彩なポーズと表情の「Fぼうや」が生成↓↓されました。すごい!
ただ、鼻とほっぺの有無のバラつき、頭身バランスの違い…など、手直ししたくなる部分もありますね。
変更したい箇所を、部分選択して微調整も可能↓↓です。
特定部分の細かい修正に対応できます◎
●時間やコストを掛けられない場合
●プロトタイプで案を出したい場合
●あくまで、簡易的なビジュアルとして使用する場合
…であれば、ChatGPTの画像生成だけで、十分解決できそうです!
ただ、「ちょっと気になる」部分を完璧にプロンプトだけで調整するのは手間と難易度が高く、そういう場合は、生成された画像を一度ダウンロードしてから、微調整した方が効率が良いです。
また、画像生成の指示を出すにも、指示者のデザインセンスや技量が問われるでしょう。
印刷会社視点からすると、「生成AIだけですべてが完結する!デザイナー要らず!」…とまでは言い切れず、便利な機能を使いこなすためには、デザイン的な思考やスキルが必要不可欠!という印象です。
とはいえ、圧倒的に便利な生成AI。
創造的かつ人間的なデザイナーのスキルと組み合わせ、上手く利用していきたいです。例えば…
【 プロンプト 】
これを立体的でリアルな着ぐるみにして、子供たちと触れ合っている超高画質写真にして。
…こんなイメージも一瞬でビジュアル化できてしまうのは、生成AIならでは。使わずにいるのは、もったいないですね。
コンテンツ制作への生成AI利活用はますます拡大するでしょう。実際、すでに多くの企業・組織がビジネスにおいても利用を進めていますね。しかし中には、技術や法務に習熟していない事業者も多く、法的リスクやデータの不適切利用が懸念されます…
この状況を受け、2025年2月、経済産業省より「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」が公開されました!
【参考】経済産業省(https://www.meti.go.jp/press/2024/02/20250218003/20250218003.html)
「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」の対象となるAIは、「個社ごとにカスタマイズしたものではなく、不特定多数のユーザ向けに共通して提供されるもの」(経済産業省「第1回 AI利活用に伴う契約時の留意事項検討会」)と言われていますので、まさに業務でChatGPT等を利用する企業もあてはまるわけです!
たとえ話ですが、先ほどの「Fぼうや」をサービス化し、
「AIを用いたコンテンツ作成を事業展開しよう!」とすると、このチェックリストに基づいて顧客と契約を結ぶ必要があります。
チェックリストを構成する項目は、以下の通りです。
AIを活用したビジネスを進める上で、明文化しておくべき項目が網羅されています。法的・技術的な観点からリスクを事前把握し、適切な契約を行うためのガイドラインとなっています。
1. AIを利用する契約の目的の明確化
2. AIで生成された成果物の、知的財産権の取り扱い
3. AIで利用するデータの取り扱い
4. AIの精度や性能に関する性能保証と責任範囲
5. 契約終了後の成果物の取り扱い
6. 要件変更や追加開発への対応
7. AIの利用に伴う倫理的・法的問題への対応
不特定多数のユーザ向けに共通して提供される生成AIを利用する場合、入力データはAI提供元のサーバに送信されるため、社外への情報流出が発生する可能性が!入力データがサービス改善や学習モデルの向上に使用されると、機密情報や個人情報が共有・利用されてしまうわけです。
チェックリストでも、【秘密保持義務等違反のリスク】【知的財産権等の権利利益侵害のリスク】等を十分検討する必要があると書かれています。「AI利活用による競争力向上とリスク管理の両立を図る」ことが重要となります。
各企業(組織)として、行うべき対策は以下のとおりです。
●入力内容を制限する!
▪機密情報や個人情報のAI入力を、社内ルールで制限する
●社内ガイドラインを整備する!
▪AI利用ポリシーを策定し、ビジネス利用基準を従業員に教育する
不必要な情報をインプットに含めないよう、ルール整備と周知徹底を行っていく、という対策です。
【例えば…】冒頭の「Fぼうや」生成に用いた当社のロゴマークは、当社所有の公開情報なので、当社が自社利用のために生成AIに入力しても問題無いです◎ これが、お客様からお預かりした機密情報や他者に知的財産権のある情報だと…大問題!その判断が全従業員で行えるようにする、ということです。
企業がAIを利用する上で必須の対策ですが、これだけで全従業員の利用をコントロールするのは非現実的です。「悪気なく」「意図せずに」、という機密情報入力を、100%防ぐのは困難でしょう。
そこで、第三に検討すべき対策方法が以下です。
●代替手段を利用する!
▪機密情報を扱う場合は、オンプレミス型のAI(社内のサーバやネットワーク環境内でAIを用いる)や、社内専用ツールを開発する。
※オンプレミス型の導入・運用にはコストが掛かるため、企業規模やビジネス計画に応じた検討が必要です。社内でITスキルを擁した担当者のサポートも求められます。
当社でも、社内限定の高セキュリティ環境で動作するように開発した対話型生成AIを導入しています。
社内のリテラシー教育を徹底しつつ、業務効率化やコミュニケーション精度の向上に、AIを正しく利活用していきたいですね。
本記事では、2025年春の生成AI情報として、ChatGPTの画像生成機能と、経済産業省「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」について取り上げました。
一企業(組織)としては、常に新しい情報を収集しつつ、自社のビジネスとして必要な対策を取捨選択していくことが大切ですね。特に、機密情報や個人情報の入力に関しては、注意が必要です!
福島印刷では、お客様よりお預かりした個人情報を安全に取り扱うため、日々マネジメントシステムの運用を行っています。
その他、当社の情報セキュリティの取り組みについて知りたい方、個人情報を含むデータ処理を伴う通知物、DM制作の委託先をお探しの方は、ぜひこちらからご連絡ください。